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トントン日記~part17~

皆さんこんにちは!

株式会社境関養豚、更新担当の中西です!

 

~変遷~

1|原点:自給的畜産から専業化へ(〜1950年代)

戦前〜戦後直後の養豚は、農家の副業的・自給的な家畜飼養が中心。
台所残さや副産物を飼料にして、**家計と地域循環を支える“小さな畜産”**でした。
やがて都市化と食生活の近代化に伴い、肉・脂の安定供給が社会的課題となり、専業化への道が開かれます。


2|高度経済成長期:系統豚導入と増頭・分業(1960〜70年代)

国産豚肉の需要が急伸。ランドレース、ラージホワイト、デュロックなどの血統導入で改良・増体が進みます。

  • 飼料:穀物主体へ移行、配合飼料工場の整備

  • 経営:種豚・肥育・出荷の分業体制が広がる

  • インフラ:と畜・流通の近代化、冷蔵・冷凍網の整備
    この時代に「量の安定供給」という社会ミッションが確立しました。


3|効率化と大型化の波:疾病管理・品質管理の胎動(1980〜90年代)

大規模化・省力化が進む一方、疾病リスク管理の重要性が前面化。ワクチンやバイオセキュリティの整備が広がります。

  • ハウジング:ウインドレス豚舎、換気・給餌の自動化

  • 品質:枝肉格付・歩留向上を意識した改良

  • 管理:HACCP的発想や衛生管理マニュアルの普及
    生産者は「多頭化×健康管理」の両立に本格的に挑み始めました。


4|安全・安心とブランド化の時代(2000年代)️

食の安心が求められ、トレーサビリティや生産履歴管理が当たり前に。

  • 地域銘柄豚の台頭(飼料・水・飼養方法の“物語化”)

  • 直販・外食連携・六次化で顔の見える豚肉

  • 環境対応:堆肥化や臭気対策、排水処理の高度化
    「安全+おいしさ+物語」が価値の三本柱に。


5|スマート化とアニマルウェルフェア(2010年代)

ICTが現場に浸透。見える化×自動化で省人・高精度の管理へ。

  • センサーで温湿度・CO₂・アンモニアを常時監視、換気・ミストを自動制御

  • カメラ・マイクで行動や咳を検知、早期発見・早期対処

  • ウェルフェア:群飼・ストール見直し、ストレス低減、疼痛管理への配慮

  • エネルギー:バイオガス化やソーラー導入で再エネと循環を両立
    “効率”だけでなく“いのちへの配慮”が経営価値に直結する時代へ。


6|2020年代:レジリエンスとDX、ESGへの接続

国際的な感染症リスクに備えた防疫体制の強化や、気候変動下での暑熱対策が必須に。
同時に、データドリブン経営が標準化しています。

  • AI給餌・発情検知・体重推定、ゲノミックセレクションの活用

  • 飼料高騰への備え:副産飼料・国産飼料、配合最適化のアルゴリズム導入

  • 抗菌剤使用の適正化とAMR対策(獣医連携・サーベイランス)

  • ESG開示:カーボンフットプリント、水・廃棄物指標、動物福祉指標の可視化
    「強く、しなやかな養豚経営」をデータと仕組みでつくる段階に入りました。


7|タイムラインで振り返る ⏱️

  • 〜1950s:副業的・自給的 → 専業化の萌芽

  • 1960–70s:改良・配合飼料・分業で量の安定供給

  • 1980–90s:多頭化と疾病管理・衛生管理

  • 2000s:安全・ブランド化・環境対応

  • 2010s:スマート化とアニマルウェルフェア

  • 2020s:DX・レジリエンス・ESGの統合


8|これからの養豚を形づくる5つの潮流

  1. データ一元化:飼料・環境・健康・出荷を同じダッシュボードで意思決定

  2. カーボンスマート養豚:バイオガス・堆肥還元・再エネで“負から価値へ”

  3. 国産飼料×代替飼料:麦・飼料米、副産物、昆虫由来などでレジリエンス強化

  4. ウェルフェアの標準化:行動ニーズ・群飼設計・ハンドリング教育をKPI化

  5. ブランドの深化:テロワール(気候・水・飼料)を語る“ストーリー・ミート”戦略


9|変わらない核:現場力と地域循環 ♻️

テクノロジーが進んでも、日々の観察・清掃・温度管理・給餌の丁寧さが群の健康を左右します。
堆肥を田畑へ、作物を飼料へ戻す地域循環は、これまでもこれからも養豚の強み。
人の目・手・勘にデータを重ねることで、次の一歩がより確かなものになります。


まとめ ✨

養豚場業は、

  • 自給的畜産から始まり、量の安定供給を経て、

  • 安全・ブランド化スマート化・ウェルフェア

  • そしてDX×ESGの統合へ──。

“いのちを育て、地域を循環させ、暮らしを支える”という本質はそのままに、技術と社会要請に応じてしなやかに進化してきました。次の10年は、データと物語、循環と付加価値を結びつける時代です

 

 

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