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月別アーカイブ: 2025年9月

トントン日記~part18~

皆さんこんにちは!

株式会社境関養豚、更新担当の中西です!

 

~やりがい~

 

1|養豚場の役割と価値

養豚は単に豚肉を生産する仕事ではありません。
安定供給・安全安心・地域循環の三拍子を担い、飼料→豚→堆肥→農地という循環を回しながら、食卓に“日常のタンパク質”を届ける基盤産業です。


2|いま求められている主なニーズ 📈

  • 食料安全保障と安定供給
    価格変動や国際情勢の中でも、数量と品質を切らさない体制づくり。

  • 衛生・防疫(バイオセキュリティ)
    進入防止・早期発見・迅速隔離。動線・消毒・ワクチネーションの徹底。

  • アニマルウェルフェア
    群飼設計、床材・温湿度、疼痛管理。ストレス低減は成績にも直結。

  • 環境・ESG
    臭気・排水の適正管理、堆肥化・バイオガス化、カーボンフットプリントの削減。

  • 人材とデジタル化
    少人数で回す省力化、センサー・カメラ・データで“見える化”と標準化。

  • ブランド化と多様な販路
    テロワール(飼料・水・気候)や飼養哲学を“物語化”し、直販・外食・ECへ。


3|この仕事のやりがい 🌟

  • いのちを育てる達成感
    配合・環境・ケアの積み重ねが健康な群と良質な枝肉に結びつく手応え。

  • 数値で語れる面白さ
    日増体重、FCR、離乳頭数、死亡率…一つの改善が全体の生産性を押し上げる“経営としての醍醐味”。

  • 食卓までつながる誇り
    自分たちの豚が「美味しかった」「また買いたい」と指名される喜び。

  • 地域循環への貢献
    堆肥が地元の野菜や米を育て、その副産物が飼料に戻る——循環の中心にいる実感。

  • チームでものづくり
    担当者ごとの観察眼・手技・記録が噛み合い、群全体が良くなる“現場力”の快感。


4|やりがい×ニーズが交差する瞬間 💬

  • 暑熱期の環境制御を見直し、死亡率を半減
    → 「今年は落ち着いて出荷できた」と加工業者・小売から感謝。

  • ウェルフェア対応+物語化でブランド立ち上げ
    → 直売所でリピート率が上がり、価格の適正化とスタッフの誇りが両立。

  • バイオガス導入で臭気・電気代を同時改善
    → 近隣の理解が進み、見学受け入れで採用にも好影響。


5|すぐに効く“現場ミニ戦略”📝

  1. 見える化ダッシュボード
     日齢・温湿度・給餌量・咳検知・落穂拾い(ロス)を一画面集約。朝会で5分レビュー。

  2. バイオセキュリティの動線設計
     “清潔・汚染の境界”を色分けし、ヒト・モノ・車両の一方通行化。

  3. ウェルフェアKPIを明文化
     立てやすさ・傷・跛行・吸い傷などの週次チェックを定量化。

  4. 飼料最適化の小実験
     副産飼料や飼料米の配合比を小規模ABテスト→良い結果のみ本線に採用。

  5. 物語の棚卸し
     水源・飼料・風土・農家の哲学を言語化し、POP/EC/見学導線に展開。


6|“成果が見える”KPIの例(目安)📊

  • 繁殖:離乳頭数、離乳までの死亡率、再発情日数

  • 肥育:日増体重(g/日)、FCR(飼料要求率)、出荷日齢

  • 衛生:抗菌剤使用量(mg/PCU)、咳・下痢スコア、事故ゼロ日数

  • 環境:臭気苦情件数、電力・LPガス使用/出荷頭数、メタン回収量

  • 販売:規格外率、歩留、リピート注文比率・指名買い率

※農場条件で最適値は異なります。まずは“自分の基準線”を作り、そこから改善幅を追うのがコツ。


7|これからの展望 🚀

  • AI×IoTで“壊れる前に手を打つ”:早期発見・予知保全が標準に。

  • カーボンスマート養豚:堆肥の高度化・バイオガス・再エネの組み合わせで脱炭素と収益性を両立。

  • 国産・代替飼料の比率アップ:価格変動リスクを和らげる“地産飼料”戦略。

  • ウェルフェアの国際整合:基準適合が輸出やブランドの“入場券”へ。

  • 六次化・直販の深化:加工・外食連携、観光・教育とのクロスオーバー。


まとめ ✨

養豚場業は、

  • 安定供給・衛生・ウェルフェア・環境・人材という強いニーズに応えながら、

  • いのちを育てる達成感、数値で語れる面白さ、地域循環の誇りという大きなやりがいを提供する仕事。

“人の目と手+データ”で現場を磨き、物語とと

 

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トントン日記~part17~

皆さんこんにちは!

株式会社境関養豚、更新担当の中西です!

 

~変遷~

1|原点:自給的畜産から専業化へ(〜1950年代)

戦前〜戦後直後の養豚は、農家の副業的・自給的な家畜飼養が中心。
台所残さや副産物を飼料にして、**家計と地域循環を支える“小さな畜産”**でした。
やがて都市化と食生活の近代化に伴い、肉・脂の安定供給が社会的課題となり、専業化への道が開かれます。


2|高度経済成長期:系統豚導入と増頭・分業(1960〜70年代)

国産豚肉の需要が急伸。ランドレース、ラージホワイト、デュロックなどの血統導入で改良・増体が進みます。

  • 飼料:穀物主体へ移行、配合飼料工場の整備

  • 経営:種豚・肥育・出荷の分業体制が広がる

  • インフラ:と畜・流通の近代化、冷蔵・冷凍網の整備
    この時代に「量の安定供給」という社会ミッションが確立しました。


3|効率化と大型化の波:疾病管理・品質管理の胎動(1980〜90年代)

大規模化・省力化が進む一方、疾病リスク管理の重要性が前面化。ワクチンやバイオセキュリティの整備が広がります。

  • ハウジング:ウインドレス豚舎、換気・給餌の自動化

  • 品質:枝肉格付・歩留向上を意識した改良

  • 管理:HACCP的発想や衛生管理マニュアルの普及
    生産者は「多頭化×健康管理」の両立に本格的に挑み始めました。


4|安全・安心とブランド化の時代(2000年代)️

食の安心が求められ、トレーサビリティや生産履歴管理が当たり前に。

  • 地域銘柄豚の台頭(飼料・水・飼養方法の“物語化”)

  • 直販・外食連携・六次化で顔の見える豚肉

  • 環境対応:堆肥化や臭気対策、排水処理の高度化
    「安全+おいしさ+物語」が価値の三本柱に。


5|スマート化とアニマルウェルフェア(2010年代)

ICTが現場に浸透。見える化×自動化で省人・高精度の管理へ。

  • センサーで温湿度・CO₂・アンモニアを常時監視、換気・ミストを自動制御

  • カメラ・マイクで行動や咳を検知、早期発見・早期対処

  • ウェルフェア:群飼・ストール見直し、ストレス低減、疼痛管理への配慮

  • エネルギー:バイオガス化やソーラー導入で再エネと循環を両立
    “効率”だけでなく“いのちへの配慮”が経営価値に直結する時代へ。


6|2020年代:レジリエンスとDX、ESGへの接続

国際的な感染症リスクに備えた防疫体制の強化や、気候変動下での暑熱対策が必須に。
同時に、データドリブン経営が標準化しています。

  • AI給餌・発情検知・体重推定、ゲノミックセレクションの活用

  • 飼料高騰への備え:副産飼料・国産飼料、配合最適化のアルゴリズム導入

  • 抗菌剤使用の適正化とAMR対策(獣医連携・サーベイランス)

  • ESG開示:カーボンフットプリント、水・廃棄物指標、動物福祉指標の可視化
    「強く、しなやかな養豚経営」をデータと仕組みでつくる段階に入りました。


7|タイムラインで振り返る ⏱️

  • 〜1950s:副業的・自給的 → 専業化の萌芽

  • 1960–70s:改良・配合飼料・分業で量の安定供給

  • 1980–90s:多頭化と疾病管理・衛生管理

  • 2000s:安全・ブランド化・環境対応

  • 2010s:スマート化とアニマルウェルフェア

  • 2020s:DX・レジリエンス・ESGの統合


8|これからの養豚を形づくる5つの潮流

  1. データ一元化:飼料・環境・健康・出荷を同じダッシュボードで意思決定

  2. カーボンスマート養豚:バイオガス・堆肥還元・再エネで“負から価値へ”

  3. 国産飼料×代替飼料:麦・飼料米、副産物、昆虫由来などでレジリエンス強化

  4. ウェルフェアの標準化:行動ニーズ・群飼設計・ハンドリング教育をKPI化

  5. ブランドの深化:テロワール(気候・水・飼料)を語る“ストーリー・ミート”戦略


9|変わらない核:現場力と地域循環 ♻️

テクノロジーが進んでも、日々の観察・清掃・温度管理・給餌の丁寧さが群の健康を左右します。
堆肥を田畑へ、作物を飼料へ戻す地域循環は、これまでもこれからも養豚の強み。
人の目・手・勘にデータを重ねることで、次の一歩がより確かなものになります。


まとめ ✨

養豚場業は、

  • 自給的畜産から始まり、量の安定供給を経て、

  • 安全・ブランド化スマート化・ウェルフェア

  • そしてDX×ESGの統合へ──。

“いのちを育て、地域を循環させ、暮らしを支える”という本質はそのままに、技術と社会要請に応じてしなやかに進化してきました。次の10年は、データと物語、循環と付加価値を結びつける時代です

 

 

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