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皆さんこんにちは!
株式会社境関養豚、更新担当の中西です!
養豚業は、単なる「家畜飼育」ではありません。
そこには、毎日数百〜数千頭の命を預かる者としての責任感とルール意識が不可欠です。
本記事では、養豚の現場でプロたちが日々守り続けている「鉄則=原理原則」を、実務視点から5つに分けてご紹介します。
豚は非常に繊細な動物です。
一頭の異常が、群れ全体に感染を広げることもあり得ます。
毎日2回以上の健康観察(食欲・排便・動き)
異常豚はすぐに隔離し、個別飼養
ワクチンスケジュール・抗生剤投与は厳守
「昨日は元気だったのに…」という油断が、感染症の集団発生に繋がる恐れも。
“とりあえず様子を見る”は、現場では通用しません。
豚舎の管理で最も重要なのが、「清潔な環境の維持」です。
特に床面・水槽・壁・換気口などの衛生状態は、直接的に健康と成長率に影響します。
毎日のフン除去、週単位の床洗浄
豚舎ごとの靴・長靴・作業服の分離(ゾーニング)
人間の出入りには“2重ゲートと手指消毒”を設ける
繁殖舎、肥育舎、分娩舎などで消毒マニュアルを完全に分けることも、プロの現場では常識です。
飼料は豚の体をつくる基礎。
管理を誤れば、成長不良・下痢・食欲低下などのリスクが跳ね上がります。
飼料は湿気を避け、定期的にローテーション
水は必ず流量・濁り・異物のチェックを行う
温度管理も重要(冬は凍結対策、夏は熱中症対策)
また、新しい飼料に切り替える際は徐々に混ぜるなど、胃腸の負担に配慮することも忘れてはなりません。
現代の養豚は、「経験と勘」では生き残れません。
毎日の体重記録・発育曲線の確認
飼料摂取量、薬剤使用量、死亡率のデータ化
クラウドやアプリでの一元管理
データを蓄積することで、「異常の早期発見」や「繁殖成績の改善」に大きく貢献します。
数字は嘘をつかない。だからこそ、記録は最強の“武器”になります。
今や養豚業も、“動物の権利”や“福祉意識”が問われる時代です。
無理な密飼いを避ける(ストレス=病気の温床)
適切な温湿度・日照・換気を保つ
不要な苦痛や拘束を減らす努力を怠らない
このような取り組みは、消費者の信頼と市場競争力を高める鍵にもなります。
海外輸出や高付加価値ブランドを目指すなら、避けては通れない視点です。
養豚は、“命と向き合う仕事”です。
そこには日々の管理・予防・観察・清掃といった見えない努力の積み重ねがあります。
鉄則とは、「当たり前のことを、当たり前に続けること」。
その意識が、健康な豚を育て、美味しい豚肉を届け、そして信頼される農場をつくっていきます。
次回もお楽しみに!
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皆さんこんにちは!
株式会社境関養豚、更新担当の中西です!
豚肉は今や私たちの食生活に欠かせない食材ですが、その供給を担う「養豚業」は、単なる畜産業のひとつではなく、時代の変化や食文化の多様化と共に歩んできた日本の農業の要です。
本記事では、古代から現代までの日本における養豚の歴史をたどり、その変遷と社会的背景を振り返ります。
日本では古来より、仏教の影響で肉食そのものが忌避されていた時代が長く続きました。
一部の地方では狩猟による野生の猪(しし)を食していた記録がありますが、豚を飼育して定期的に食べる文化は、長らく根づきませんでした。
奈良時代の文献では、豚ではなく“猪”の肉が薬用として用いられていた
武士階級の間でも、魚と野菜が中心の食生活が一般的
つまり、日本において養豚という産業が発展する土壌は、当初ほとんどなかったのです。
例外的に早い段階から豚文化が定着していたのが、奄美・沖縄地方です。
16世紀には琉球王国に中国・東南アジアから豚がもたらされ、家畜化
沖縄の伝統料理「ラフテー」や「ソーキ」はこの流れの産物
豚は“鳴き声以外すべて食べられる”とされ、循環型農業の要として飼育されていた
こうした地域では、今なお「豚との共生文化」が強く根づいており、日本本土とは異なる発展を遂げてきました。
明治政府は、欧米諸国に学びながら農業・畜産業の近代化を進めました。
1870年代:アメリカ・イギリスから品種豚(バークシャー、デュロックなど)を導入
農学校での豚舎建設、品種改良、繁殖技術の教育が始まる
日本各地に試験場・育成場が整備され、“産業としての養豚”がスタート
この頃から、豚肉が「栄養価の高い食材」として注目され、食肉産業の一翼を担う存在になっていきました。
戦後の食糧難と栄養改善政策の中で、豚肉の需要は急増。
養豚農家の数も一気に増加し、日本全国で豚舎が整備されていきます。
給食・食堂・家庭食で豚肉の利用が広まり「豚の生姜焼き」「トンカツ」が定番メニューに
都市近郊型の“狭小スペースでの豚舎”が増え、生産効率の高い養豚業へ
1970年代には飼料輸入の自由化もあり、配合飼料による管理型養豚が普及
この頃、日本は世界でも有数の養豚技術国として、一定の自給率を維持できるようになります。
1990年代以降、家畜伝染病対策・衛生管理の徹底が養豚業の常識となります。
OIE(国際獣疫事務局)基準への準拠
ワクチン接種・豚舎のゾーニング・出荷管理の厳格化
地域ごとの「銘柄豚」(三元豚、黒豚、〇〇ポーク)の開発・ブランド戦略が加速
また、豚肉は国際競争が激しい分野であり、輸入品との価格・品質競争に対応する知恵と工夫が求められ続けています。
豚は“人間に最も近い家畜”とも言われます。
その扱われ方・育て方は、時代の倫理・科学・経済すべてを反映しています。
養豚業は、日本の食卓を支えると同時に、農村の景観・地域経済・人の営みそのものをつくってきた産業なのです。
次回は、そんな現代の養豚現場で、プロたちが大切にしている“鉄則”を深掘りしていきます。
次回もお楽しみに!
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