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皆さんこんにちは!
株式会社境関養豚、更新担当の中西です!
目次
豚肉は今や私たちの食生活に欠かせない食材ですが、その供給を担う「養豚業」は、単なる畜産業のひとつではなく、時代の変化や食文化の多様化と共に歩んできた日本の農業の要です。
本記事では、古代から現代までの日本における養豚の歴史をたどり、その変遷と社会的背景を振り返ります。
日本では古来より、仏教の影響で肉食そのものが忌避されていた時代が長く続きました。
一部の地方では狩猟による野生の猪(しし)を食していた記録がありますが、豚を飼育して定期的に食べる文化は、長らく根づきませんでした。
奈良時代の文献では、豚ではなく“猪”の肉が薬用として用いられていた
武士階級の間でも、魚と野菜が中心の食生活が一般的
つまり、日本において養豚という産業が発展する土壌は、当初ほとんどなかったのです。
例外的に早い段階から豚文化が定着していたのが、奄美・沖縄地方です。
16世紀には琉球王国に中国・東南アジアから豚がもたらされ、家畜化
沖縄の伝統料理「ラフテー」や「ソーキ」はこの流れの産物
豚は“鳴き声以外すべて食べられる”とされ、循環型農業の要として飼育されていた
こうした地域では、今なお「豚との共生文化」が強く根づいており、日本本土とは異なる発展を遂げてきました。
明治政府は、欧米諸国に学びながら農業・畜産業の近代化を進めました。
1870年代:アメリカ・イギリスから品種豚(バークシャー、デュロックなど)を導入
農学校での豚舎建設、品種改良、繁殖技術の教育が始まる
日本各地に試験場・育成場が整備され、“産業としての養豚”がスタート
この頃から、豚肉が「栄養価の高い食材」として注目され、食肉産業の一翼を担う存在になっていきました。
戦後の食糧難と栄養改善政策の中で、豚肉の需要は急増。
養豚農家の数も一気に増加し、日本全国で豚舎が整備されていきます。
給食・食堂・家庭食で豚肉の利用が広まり「豚の生姜焼き」「トンカツ」が定番メニューに
都市近郊型の“狭小スペースでの豚舎”が増え、生産効率の高い養豚業へ
1970年代には飼料輸入の自由化もあり、配合飼料による管理型養豚が普及
この頃、日本は世界でも有数の養豚技術国として、一定の自給率を維持できるようになります。
1990年代以降、家畜伝染病対策・衛生管理の徹底が養豚業の常識となります。
OIE(国際獣疫事務局)基準への準拠
ワクチン接種・豚舎のゾーニング・出荷管理の厳格化
地域ごとの「銘柄豚」(三元豚、黒豚、〇〇ポーク)の開発・ブランド戦略が加速
また、豚肉は国際競争が激しい分野であり、輸入品との価格・品質競争に対応する知恵と工夫が求められ続けています。
豚は“人間に最も近い家畜”とも言われます。
その扱われ方・育て方は、時代の倫理・科学・経済すべてを反映しています。
養豚業は、日本の食卓を支えると同時に、農村の景観・地域経済・人の営みそのものをつくってきた産業なのです。
次回は、そんな現代の養豚現場で、プロたちが大切にしている“鉄則”を深掘りしていきます。
次回もお楽しみに!
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