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トントン日記~part13~

皆さんこんにちは!

株式会社境関養豚、更新担当の中西です!

 

~多様化~

かつて養豚場は、主に食用豚肉の安定供給を目的とする農場として、規模の拡大と効率化を重視してきました。しかし近年、消費者の価値観の変化や環境意識の高まり、地方創生の潮流を受け、養豚場もまた“多様化”というキーワードのもとで大きく進化しています。

養豚場における多様化の実態を、「生産スタイル」「商品化」「ブランド戦略」「教育・観光」「環境対応」「地域連携」などの観点から深く掘り下げます。


1. 生産スタイルの多様化:量から質、そして個性へ

従来の養豚業は、「いかに多くの豚を効率的に育てるか」に重きが置かれていました。しかし近年では、飼育方法や飼料、品種にこだわり、差別化された“個性ある豚肉”の生産へと移行しつつあります。

● 多様化する生産スタイルの例

  • 放牧養豚:自由に動ける環境でストレス軽減と肉質向上

  • 無投薬・低抗生物質飼育:健康志向・安全志向の消費者に訴求

  • 地元農産物を活用した飼料による“地産地育”の豚

  • 品種改良によるプレミアム豚(黒豚・マンガリッツァ豚など)

このように、豚肉の“味”や“ストーリー”を前面に押し出すことで、唯一無二のブランド化が進んでいます。


2. 商品ラインナップの多様化:肉以外の価値を創る

養豚場の価値は「豚肉」だけにとどまりません。副産物や派生商品を活かし、食・生活・美容・医療にまたがる多彩な商品展開が進んでいます。

● 豚由来の多様な製品

  • 豚脂を使った石けん・ハンドクリームなどのコスメ商品

  • 豚の骨や皮から作るコラーゲン入りの健康食品

  • 加工肉(ハム・ソーセージ)を自社製造し、農家直販やEC展開

  • 豚革を使ったレザー製品(財布・キーケースなど)

食肉に加え、六次産業化による高付加価値商品開発が注目されています。


3. 養豚場×教育・観光の展開:ふれあいと学びの場へ

近年では養豚場が、地域の子どもや観光客に向けて体験型の教育・観光資源としての機能を担い始めています。

  • 小学校や高校の校外学習受け入れ(命の教育)

  • 豚とのふれあいを通じた「食育」体験

  • 牧場カフェや直売所を併設した観光農場モデル

  • インバウンド向け農業体験やグランピングとのコラボ

養豚場は今、**命と食のつながりを伝える“リアルな学びの場”**として社会的役割を拡大しているのです。


4. ブランド化・ストーリーマーケティングの台頭

消費者が求めるのは「安い豚肉」ではなく、安心・おいしさ・物語性を備えた豚肉です。そこで注目されているのが、養豚場自らが生産者として顔を出す「ブランド養豚」の取り組みです。

  • SNSや動画で子豚の成長や飼育環境を発信

  • 生産者の想いや哲学を伝えるストーリーブランディング

  • 地域名+豚の名前でのブランド化(例:○○高原ポーク)

  • ミシュラン掲載飲食店とのコラボによる知名度向上

こうした取り組みは、価格競争に巻き込まれない独自価値の確立につながっています。


5. 環境対応・資源循環への多様な工夫

家畜による環境負荷が課題視される中、養豚場でも循環型・環境配慮型の生産体制への移行が進んでいます。

  • 糞尿の堆肥化による農地への還元(バイオマス循環)

  • 飼料に食品廃棄物(エコフィード)を活用

  • 発酵技術を活かした臭気対策・地域環境配慮型経営

  • 太陽光発電やバイオガスの導入によるエネルギー自給

環境にやさしい養豚業は、消費者の信頼を高めるだけでなく、地域と共生する新しい農業モデルとしても期待されています。


6. 地域との連携と地域活性化への貢献

養豚場は地域の農業・産業・観光資源と連携することで、地方創生の一翼を担う存在になりつつあります。

  • 地元スーパーや飲食店への供給による地産地消の推進

  • 商工会・自治体と連携した地域ブランドづくり

  • 空き農地や遊休施設の再活用による地域雇用の創出

  • 災害時の食糧提供など地域インフラとしての役割も

単なる“生産者”ではなく、**地域と共に歩む“食と農のコーディネーター”**としての存在感を強めています。


養豚業は「豚肉を育てる産業」から「多価値を創出する社会的事業」へ

養豚場の役割は、いまや“肉を供給する場所”を超え、

  • 生命と向き合う教育の現場

  • 食文化を広げるクリエイティブな工房

  • 地域をつなぐ観光・福祉の拠点

  • 環境と調和する循環型モデル

  • 地方経済を支える地域資源

として社会的・文化的な価値の創出拠点へと進化しています。

養豚場の多様化は、私たちの“食のあり方”そのものを問い直す、深い変革の象徴でもあるのです。

 

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